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2017-03

カウンセリングに対する私たちの考え方 - 2012.05.11 Fri

カウンセリングルームのHPをリニューアルしたのですが、前のHPを最初にアップした頃と世情が変わっている面もあり、またこちらの意識の置き所が微妙に変化したこともあって、トップページ冒頭の言葉を書き直しました。
その全文をこのブログでもアップしておこうと思います。
追記の部分は、HPの方でも別ページとなっています。




うつ・パニック障害・摂食障害、あるいは家族関係や人間関係の問題……

カウンセリングに訪れる方々の訴えはさまざまで、またその傾向も時々刻々変化していますが、最近では、「私はアダルトチルドレン(AC)ではないか」とカウンセリングを希望される方が急増しています。

ただ、「私はACでは」と来談される方々の場合でも、実際に現れている症状は「うつ」や「パニック障害」であったり、漠然とした不安・劣等感や、人間関係上の問題を抱えておられたりと、状態はさまざまです。

つまりACとは、「うつ」などの症状を表現する用語というより、「機能不全家族の中で育った」という「背景」を捉えた言葉です。

2010年頃までは、「うつ」という訴えがカウンセリング全体の半数にもおよび(今も多くおられます)、私たちは自分ばかりを責めてしまううつの方たちに、家族や周囲の問題に目を向ける重要性をお話しせねばならないことが、多々ありました。
それを考えると、悩みを持つ方々の意識が家族の問題にも向かい始めたのは、精神疾患に対する一般の見識が深まった結果のようにも思えます。

しかし、……

「私はACでは」とおっしゃる方は、確かに問題のある家庭で育った経緯を持っておられるのですが、少し視点を変えてみると、さらに大きな共通点・背景も見えてきます。
それは、まずその方の家族自体が、世間の中で孤立化してしまっているという状況です。

孤立化した家庭で育つ子どもは、他の一般的な家族の様子が分からず、きちんとした大人と親密に触れ合う機会もなく、さらには自他を比較することができないため、家庭の歪みの影響をより強く受けすぎてしまうという側面があるのです。

つまり逆に言うと、ある程度家族の機能が不全であったとしても、その家族が他の複数の家庭と親密な交流(交友・親戚関係など)を持っていた場合には、その家の子どもはさほど劣等感を強めることはないのではないか、という仮説が成り立ちます。

では、昔とは違い、現代社会ではどうしてここまで、家庭の孤立化が進んでしまったのでしょうか。

ご近所付き合い・幼なじみ・親戚付き合いといった、太古から人間性を育む土壌として機能してきた「コミュニティ」は、たったの数10年でほぼ完全に崩壊してしまいました。
そして私たちは、「隣人すら何を考えているのか分からない」という暗闇に放り込まれ、さらには、人との付き合い方を学習するのに充分なだけの、自然な人間関係の機会をも大きく失ったのです。

その結果私たちは、他人に対する恐怖を常に心のどこかで感じなければならなくなりました。
また同時に、きちんと自己評価・他者評価することも難しくなってしまいました。

他人に対する恐怖は、パニック障害や社会不安障害を、自己評価や他者評価の歪みは、うつ・摂食障害・アダルトチルドレンといった悩みを引き起こしました。
またこれらは、人格障害の重症化にも大きくかかわっています。

うつの人の多くは、本来ならば高く評価されるべき、自身の裏表のない真面目さや誠実さを、不器用で要領の悪い短所だと捉えています。
これは、各家庭や世の中が正しい人物評価の基準を失い、真面目で誠実だと損をする仕組みになってしまったからに他なりません。
つまり、問題は、うつになった本人よりもむしろ、そのような仕組みになった「場」の方にあると言わねばなりません。

言うまでもなく、人が正しく評価されない「場」では、家庭や組織は正常に機能しません。
昨年の原発事故をはじめ、さまざまな社会的腐敗の構図において、このような組織の機能不全という状況は少なからず絡んでいるものと思います。

カウンセリングという職能は、実はこうした現代社会の欠落を補おうとする形で、この世に広まりました。

ですから私たちは、カウンセリングの基本的な役割とは、コミュニティが持っていた機能のいくつかを、カウンセラーが提供することではないかと捉えています。

つまり、カウンセリングにおいて第一にしなければならないことは、ご本人の心理分析に加えて周囲の人々や状況の分析をも行い、自分と周りを見渡せる正確な視点と力強さの成長を、カウンセラーの幅広い視野と多様な価値観によって支えることだと考えているのです。



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私の家族関係

父は若年性アルツハイマー歴11年目、その病気を発症した一年後に、私は気分障害うつ、境界性人格障害と診断された、娘が小学4年生、完治するまで約5年…その後3年は働く事が出来た。仕事が楽しかった私の居場所だった!うつ病再発、いつ治るかわからないから一旦退社して治して面接受けてと、あっさり捨てられ、去年夏に、娘がパニック障害と診断された。うつ病の原因は夫だと医師は言う私もそう思う。夫は忘れてるけど結婚して10年程仕事以外はパチンコの日々、DVもあった。そういうのを見てきたので、娘が病気になった、私のせいだと感じる。罪悪感…境界性人格障害もうつ病もこの先、治ったり再発したりの繰り返しでしょうか?

浦さまへ

コメント拝見しました。
大変な状況なんですね。

ただ、あまりに多大な労力を要するので、ブログのコメント欄において踏み込んだご質問にはお答えできません。
また、一般論でお答えできる範囲をはるかに超えていることでもありますので、回答のほうはご容赦願いたく、お願いいたします。


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プロフィール

Author:kohocounsel
大阪市西区にて、夫婦で幸朋カウンセリングルームを運営しております、松波幸雄と申します。

このブログでは、「うつ」と診断される方々の本質的な真っ直ぐさと、ではなぜ彼らが発症しなくてはならなかったかについて、おもに家族病理・社会病理の観点からお伝えしていきます。

なお、皆様のお考えにつきましては、できるだけ読者全員の方々とも分かち合いたいと思いますので、基本的に、コメントは公開設定にてよろしくお願いいたします。

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